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2017年1月19日 (木)

Vol.17 いじめ探偵 阿部泰尚さん、「学校が保護者に''モンペ対応"」するケースが増えている

2017年1月13日発売の、「週刊金曜日」1月13日号に、NPO法人「ユース・ガーディアン」代表、阿部泰尚(あべひろたか)さんのインタビューを書かせていただきました。阿部さんは、学校で起きているいじめ問題のエキスパートです。

今回のブログも前回に引き続き、雑誌に掲載しきれなかった阿部さんのインタビュー内容を紹介します。

阿部さんは、「最近、学校が被害生徒の保護者に対して"モンペ対応"するケースが増えていて、これが大きな問題なんです」といいます。

モンペ対応って?

みなさんは、モンスターペアレンツという言葉をご存じですよね?では、''モンスターペアレンツ対応''略して"モンペ対応"いう言葉をご存じでしょうか?ぼくは、今回の阿部さんのインタビューで初めて知りました。

子どもが学校でいじめに遭って悩んでることを知った保護者の中には、当然、学校に直接相談する人がいます。阿部さんによると、学校に相談するのはほとんどが母親だそうです。保護者が学校に相談する場所、ふつうはまず学校に電話して担任の先生と話したいと告げるようです。

我が子のいじめに悩むある母親が学校に電話をすると、なぜか担任の先生には取り次いでもらえず、教頭先生が出てきて保護者の話を聞き「その件につきましては、こちらのほうでも相談して後日ご連絡を差し上げます」という答えが返ってくる。

その言葉を信じて、しばらく返事を待っていたけど連絡がないので再度学校に電話してみると、やはり前回同様に教頭先生が出てきて、「その件につきましては、こちらのほうでも相談して後日ご連絡を差し上げます」と、まるで録音されているかのように、前回と同じ返答。教頭先生は、保護者のいうことを肯定も否定もせず淡々と受け応えするのです。

しかも何度学校に電話しても同じことの繰り返しなので、保護者は途方に暮れてしまいます。

こんな状況に置かれた保護者の相談を受けて阿部さんが調査してみると、いじめは事実として存在していて、しかもその内容は深刻だということが判明します。

電話で相談した時の不自然な対応の原因を調べてみると、学校内部で、この保護者はクレーマータイプのモンスターペアレントだから、電話の応対は必ず教頭が行い、ことを荒だてないで、話には取り合わないよにしようという合意ができていたことが分かりました。

これが、モンペ対応、学校のモンスターペアレンツ対応なのです。そして、阿部さんによると、いま保護者のいじめ相談に対し、学校がこのように受け応えをするケースが激増しているようです。

保護者と学校がこんなやりとりをしている最中も、深刻ないじめが進行していて、子どもが登校できなくなったりすることもあるといいます。

阿部さんによると、ほとんどの場合、モンスターペアレンツ認定されている親子さんは、たんに言うべきことを言っているだけだとのことです。もちろん中には、多少喋り方が乱暴な人がいるかもしれませんが、学校への相談内容は至極当然なものだといいます。

なにも学校の給食のメニューが不適切だとか、教師の服装がおかしいなんてクレームを入れているのではなく、我が子がいじめられているからなんとかしてほしいと頼んでるわけですから、モンペ対応されるようなことではないといいます。

「学校は弁護士のサゼッションを受けてこんな対応をしているのかも」と阿部さんは言っていましたが、ぼくは、まるで企業でクレーム研修を受けたお客様窓口の対応みたいだなと思いました。

ひとりの子が継続的にいじめを受け失意のどん底にあったとしても、毎日毎日忙しいし自分のことで手一杯だしと思っている周囲の大人にとっは、そんないじめはなかったという思うことが、一番楽なのかもしれません。

この保護者はモンスターペアレンツなのだから、そもそも言ってることがあるしいのであって、まともに取り合わない自分たの対応は妥当なものだと、感じることができれば先生たちの罪悪感も緩和されるのでしょう。

モンスターペアレンツは、メディアが作った流行語ですが、今では教師たちが実際に起きているいじめに対処しない口実になっていると、阿部さんは指摘します。

事なかれ主義や臭いものには蓋をする態度は、昔から言われていることですが、社会の通弊です。

実際のいじめ事案で学校と保護者の関係がこんな状態になってしまったら、阿部さんのような外部の専門家が介入しない限り、いじめられている子どもの状況を改善することはできません。

ですからこのようなケースでいじめの内容が深刻な場合は、阿部さんのNGOが独自調査を行い、学校や教育委員会に意見書を提出するのです。


阿部泰尚(あべひろたか)さん、NPO法人「ユース・ガーディアン」代表、T.I.U.総合探偵社 代表。著書に「いじめと探偵」(幻冬社新書)。
いじめと探偵-幻冬舎新書-阿部泰尚

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文・桑原和久
(フリーライター、編集者、茅ヶ崎方式渋谷松涛校生徒)

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