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2017年1月13日 (金)

Vol.16 学校の常識は社会の非常識! 教師は「おごった」、警察は「カツアゲ」


本日(2017年1月13日)発売の、「週刊金曜日」1月13日号に、NPO法人「ユース・ガーディアン」代表、阿部泰尚(あべひろたか)さんのインタビューを書かせていただきました。

阿部さんは私立探偵として、過去10年以上に渡り、学校で起こるいじめ事件を調査し、何百名もの被害生徒を救ってきた人です。

現在は探偵社の代表をつとめながら、NPO法人を立ち上げ、毎日、全国から寄せられるいじめの相談に、無料で対応しています。

雑誌に掲載されたインタビュー記事のタイトルは、なぜ「いじめ死」は減らないのか?「子どものいじめは大人社会の模倣である」です。

興味のある方は、是非ご覧になってください。

このブログでは、阿部さんのインタビュー内容の、誌面スペースの都合で割愛せざるを得なかった、雑誌には掲載されてない部分を紹介したいと思います。

福島から避難した子どもが同級生からいじめられ、カツアゲされていたニュースをご存じの方も多いと思います。弁護士が登場して、やっと事件性を帯びましたが、当初、学校側は、「いじめはなかった」という態度でした。

そして、阿部さんは、「あの事件は氷山の一角だ」といいます。どう考えても「カツアゲ」つまりは大人であればそれは恐喝なのに、学校がいじめの事実を無かったことにしたいがために、表面に出てこない事件が後を絶たないというのです。

学校では、一体何が起きているのでしょうか?

一昨年、阿部さんのもとへ、中学1年生の息子が同級生3人からカツアゲされているのだがどうしたらいいか、という内容の相談があったそうです。電話をかけてきたのは、男子生徒のお母さんでした。

阿部さんは、その生徒や周囲の人たちに聞き取り調査を行うとともに、明らかにお金を要求しているように見える同級生からの、LINEをスクリーンショットするなどして証拠を集めました。

阿部さんは調査の結果、カツアゲがあったと確信しました。さらに、詳しく調べてみると、この男子生徒は、10ヶ月の間に50万円、同級生から脅し取られていたことが分かりました。

男子生徒の母親は、それらの証拠を学校に示し、対応を求めました。しかし、被害生徒が脅し取られたと訴えているにもかかわらず、学校からの返答は、校長、副校長、学年主任、部活顧問の5名が、多数決により、「カツアゲ」ではなく「おごった」のだという結論に達した、というものでした。

学校側のヒアリングを受けたカツアゲした側の保護者の中には、「子どもがおごってもらったと言ってるのだから、大人が首を突っ込むことではない」といった人もいたようです。

こんな時、被害にあった側はどうすればいいのか?阿部さんの結論はシンプルでした。警察に被害届を出すように男子生徒の母親に助言したのです。

そして、その母親が、その通りにすると、すぐに警察から学校に「実態を把握するために学校にうかがいます」との連絡が入ったのです。

「中学生が10ヶ月に50万円という額を友達に脅し取られたと言えば、学校は『おごった』で済んでも、警察は当然事件だと受け止めます。それくらい、学校の常識は世間からズレているのです」と阿部さんは言います。

ちなみに、この学校は比較的裕福な家庭の子どもが通う私立の学校だといいます。

警察からの連絡で学校側の態度は豹変します。警察に対しては「1日だけまってくれ、その間になんとかする」と言ったそうです。そしてすぐに、被害生徒の母親のもとには、学校長から話があるから学校に来てくれという連絡が入りました。

母親が校長室を訪ねると、そこには50万円が入った封筒が用意されていて、校長は「これで収めてくれ、収めてくれないなら(被害生徒を)処分する」と言ったそうです。

お金はカツアゲした側の親が出したものだと思われますが、その場に親たちはいませんでした。学校長の態度は、カツアゲの事実は曖昧にし、加害者に対する指導についても触れないというものでした。

被害生徒の母親は、さすがに頭に来て、白黒つくまでやってやるという思いで、そのお金を受け取らずに帰ったきたそうです。

このケースはまだ決着がついていないといいます。

阿部さんは「私立が公立よりましなんてことはなくて、とにかく対面を気にして、何もなかったことにしたいと考える学校が多すぎる」と言います。

「中にはまともな先生もいるけど、そういう先生は少数派だから過度な負担がかかるのです」と阿部さん。

いじめの現場をさんざん見てきた阿部さんは、いま、「いじめGメン」という名称のボランティアを育成しています。いじめの知識を持った一般の人たちを増やし、教育現場や地域社会にかかわってもらおうとしているのです。

世間の常識と学校の常識が甚だしく乖離しているために、学校だけに任せていては、いじめ被害で悲惨な学生生活を送る子どもたちを減らすことはできないと考えいるのです。


阿部泰尚(あべひろたか)さん、NPO法人「ユース・ガーディアン」代表、T.I.U.総合探偵社 代表。著書に「いじめと探偵」(幻冬社新書)。
いじめと探偵-幻冬舎新書-阿部泰尚

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文・桑原和久
(フリーライター、編集者、茅ヶ崎方式渋谷松涛校生徒)

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