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2016年12月 8日 (木)

ネイティヴの英会話教師 ボブ先生のほめ殺し

以前、このブログに書いたとおり、ぼくは30歳を過ぎてから、英語をやり直しました。

最初は英字新聞を毎日読むことから始め、その後、英語教室にも通いました。その過程で茅ヶ崎方式にも出会いました。

これまでにぼくは、3人の日本人の先生と、3人の英語ネイティヴの先生から学びました。

その中でとても印象に残っているのが、都内の大学で英語を教えていたアメリカ人のボブ先生のレッスンです。

レッスンの内容は、週に一回、カフェで、マンツーマンのフリートークをするというものでした。

話題は他愛のないものが大半でしたが、ぼくが何か言うと、ボブ先生は、必ず”グーッ”と言うのです。レッスン中は、”グーッ”の連発です。でも、ぼくは、彼に”グーッ”と言われるたびに、嬉しいというより、居心地の悪さを感じました。

ボブ先生は、ぼくにとっては初めての、ネイティヴの英会話講師でしたが、それ以前に日本人の先生から英語を学んだことはありました。

ボブ先生と出会ったころ、ぼくは、すでにTOEICスコア800点台でしたし、英字新聞を読み続けて、3年以上経過していたので、読む、聴く能力に関しては、自信とはいかないまでも、英語を始めたころに比べれば多少は進歩していると思っていました。

が、アウトプットに関しては、それまでほとんど経験がなく、自信などまったくありません。どう考えても、変な発音、変な文法で話してるはずなのに、ボブ先生は”グーッ”を連発するのです。

そして、たまに長めの慣用句などを使って話すと、”グッ イングリッシュ”と言ってくれるのです。

ぼくは、自分が話してる英語がグッドだと思えなかったし、事実グッドじゃなかったんです。

内心ぼくは、こいつはレッスン料を受け取っているから、本当は、レッスンを継続したいだけで、客であるぼくをおだてるために適当なことを言ってるんじゃないか、とすら思いました。我ながら、ずいぶんひねくれた考え方ですが。。。

話は変わるのですが、ちょうどそのボブ先生のレッスンをしていたころ、ぼくは、友人に誘われて、アジアンカンフージェネレーションの、後藤正文さんのライブを観に行きました。ステージで、ゴッチこと後藤正文さんが、こんなことを言ってました。

”次のアルバムは、初めての試みとして、外国人のレコーディングエンジニアを雇って録音しています。で、これが勘狂っちゃうんだよね。こっちが、演奏でミスっても、彼らは”グーッ”しか言わない。ぼくらもだんだん、ある程度適当でも、楽しければいいんじゃないかと思うようになってきたんだよね”

ゴッチの言葉を聞いて、ぼくは、ボブ先生のことを思い出しました。

それまで、日本人の先生に英語を習うケースでは、褒められることより、注意されることの方がはるかに多かったように思います。

9割方正しくても、1割間違っていれば、まずは、間違いが指摘されます。

勉強には、百点満点の正解があって、その正解に到達できないのは、どこかが間違っていのだから、その間違っている点を正そう、というのが日本的発想だと思います。

それに慣れきっていたぼくにとって、”グーッ、グーッ”を連発するボブ先生は、先生らしくなく、すごく違和感があったのですが、このゴッチの言葉を聞いて、ひょっとしたら、ぼくが思い違いをしていたのではないかと考えるようになりました。

後で考えてみると、どうもボブ先生は、日本人の学習者の最大の欠点は、積極性がないことだと考え、積極性を引き出すことを、レッスンの主眼としていたように思えるのです。

日本人はある程度の英語力を持っているが、同程度の英語力がある他の国の人に比べて自己評価が低く、失敗を恐れるあまり、消極的過ぎる。きっと、ボブ先生は、そう思っていたのではないか。

ボブ先生にしてみれば、生徒が積極性を持つようになれば、レッスンは成功なのです。積極的になれば、これまで以上に英語を使おうとするし、英語を使う過程で努力もするから、英語力は自然に伸びるはず。大勢の日本の大学生に接していたボブ先生は、多分、そう考えていたのだと思います。

翻って日本人の先生は、生徒が努力するのは当たり前であって、生徒の英語力が向上しないのは、生徒を積極的にできない自分のせいではなく、生徒自身の努力不足だと考えがちだと思います。

ボブ先生のレッスンは3ヶ月で止めてしまいました。レッスン料は、ネイティヴのマンツーマンレッスンにしては安かったのですが、それでもぼくには負担か大きく、レッスンに使っているお金を他に回したいという、生活上の事情が生じたためでした。

短い間でしたが、ボブ先生が、”グーッ、グーッ”と連発し、ほめ殺しにしてくれたことは、いまでもぼくにはとってはとても大きな励みになっています。

外国人が集まるパーティなどに出席したとき、それまでは尻込みしていた、初対面の外国人に話しかけるとことができるようになったのは、ボブ先生のおかげでした。

多分、ぼくは今でもかなりヘンテコな英語を話してると思いますが、なんとか意思疎通はできるようになったし、英語で会話することを楽しいと思えるようになりました。



ボブ先生が推薦してくれた、English Grammar in Use、彼がこの本を薦めた事実が、ぼくの英語の拙さを物語ってますね。


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文・桑原和久
(フリーライター、編集者、茅ヶ崎方式渋谷松涛校生徒)

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