« English Grammar in Use | トップページ | 仏検受験歴 »

2016年12月14日 (水)

ABSOLUTE DUD=不発弾

ABSOLUTE DUD。日本語訳は不発弾。訳せましたか。ぼくは訳せませんでした。

これは、いま、横浜市のBankART Studio NYKで開催されている、現代美術家 柳幸典さんの個展「ワンダリング・ポジション」で展示されている作品です。

広島に投下された原爆リトル・ボーイの外観を忠実に再現したものです。



写真では分かりづらいのですが、表面が錆ていて、実物を見ると思わず息をのんでしまいます。

日本には、戦時中二発の原爆が投下されましたが、柳さんによると、この作品は、実は三発目の原爆が投下されていて、それが不発弾の状態で発見された”もの”なのです。

もちろん架空の話ですが、もし、それが現実なら、今の日本はどうなっていたか、観る人に架空の思考実験をして欲しかった。それが制作意図だとのことです。

随分、型破りな作品です。

1959年福岡県生まれの柳さんは、その生き方もかなり型破りな方です。

武蔵野美術大学で美術を学ぶのですが、教授から、卒業制作は平面作品でなくてはだめと言わているのに、立体だか平面だかわからないような作品を創り、卒業制作展で展示することができなくなってしまった。ところが、その作品を学外の展覧会に出品したら賞をとってしまった。

大学卒業後は、新進気鋭の美術家として、たちまち有名になります。

ところが、日本で有名になったのに、今度は、イエール大学大学院に無学費留学して、イエールの修了展で最優秀賞をとってしまいます。ベネチア・ビエンナーレには、日本ではなく、アメリカ側の推薦で出品して、またそこで賞を獲ってしまいます。

ニューヨーク近代美術館に作品が収蔵され、アメリカで大成功したのに、21世紀になると、突然帰国して、今度は、瀬戸内海の離島、犬島で活動を始めます。

成功しても一箇所に留まらない、世の中では珍しい人だと思いますが、柳さんご自身には、一箇所にとどまると、美術家としての批評精神を失われてしまうという、確固とした信念があるのです。

ところで、アートの世界では、イエール大学大学院は名門です。無学費留学ということはフェローですが、気になるのが英語力です。

柳さんご本人に、留学前の段階で英語は得意だったのですかと尋ねると、得意ではない、審査官が、この学生を入学させなかったらとんでもない落ち度だと思うような資料を作って送ったんだよ、というこたえが返ってきました。


柳さんのインタビュー記事は、今週(12月12日が月曜日の週)店頭に並んでいる「AERA」12月19日号に掲載してあります。ご興味のある方はご一読ください。このブログでは、誌面の制約から記事では紹介できなかったことを書いてみました。

---------
文・桑原和久
(フリーライター、編集者、茅ヶ崎方式渋谷松涛校生徒)

« English Grammar in Use | トップページ | 仏検受験歴 »

桑原 BLOG」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/575190/64626304

この記事へのトラックバック一覧です: ABSOLUTE DUD=不発弾:

« English Grammar in Use | トップページ | 仏検受験歴 »